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【読書】村上春樹『村上ラヂオ3 サラダ好きのライオン』文章の親切さの大切さ

こんにちは。ざわです。

 

久しぶりに読みました、村上春樹

 

サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3

サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3

 

 

最近本を読んでも面白くないなぁと思うことが増えてきていたので

昔から好きだった村上春樹のエッセイ集を読んで

原点回帰しようと思って手に取りました。

 

やはり、昔と変わらずサクサクとスムーズに楽しむことができました。

 

そして改めて感じたことは

 

文章の親切さ

 

でした。

 

これが、村上春樹の文体を作り上げているコアだと感じています。

 

村上春樹というと

ノルウェイの森を思い浮かべる人が多いですよね。

 

だいたいの作品において(特に初期〜中期)

主人公の「僕」のキャラクターには共通する特色があります。

 

少しキザな、気取っていて

孤独な個人主義者だけど、女の子にはモテる

 

みたいな。

 

そこに苦手意識を感じて読まない人も多いでしょう。

 

 

しかし!ことエッセイに関しては全く別物です。

 

ダジャレが好きな、面白い文章を書くおじさんになります。

 

で、その面白いワケは「文章の親切さ」なんです。

 

今回読んだ『村上ラヂオ3』の中でもそれについて

言及されています。 

 

「愛は消えても」

というエッセイで、エア・フロリダ90便墜落事故の

アーランド・ウィリアムスさんについて書いています。

 

エア・フロリダ90便墜落事故 - Wikipedia

 

寒波の悪天候が原因でワシントンDCに位置するポトマック川に墜落してしまった

飛行機から6人の乗客が水中に投げ出されました。

救助に来たヘリコプターが一人づつ救助していくのですが

アーランド・ウィリアムスさんは、極寒の水中で誰もが一刻も早く

脱出したい中、他の5人に順番を譲り、結果その5人は救われましたが

ウィリアムスさんは水温の低さに耐えられず帰らぬ人となりました。

 

その功績をたたえてポトマック川にかかる橋の名前が

アーランド・ウィリアムス橋と改名されました。

そんな内容です。

 

この行為はもちろん称えられるべき素晴らしい行いだけど

多分日常から優しいジェントルマンだったんじゃないかぁ。

 

と、書いています。

 

で、そんな英雄的行為はできないけど

読みやすい、そして理解しやすい文章を書くことが

作家として必要なことだ、と続きます。

 

僕にはそこまで英雄的なことはできそうもないけど、

でも文章を書くときには、できるだけ読者に対して親切になろうと、

ない知恵をしぼり、力を尽くしています。

https://www.amazon.co.jp/サラダ好きのライオン-村上ラヂオ3-村上-春樹/dp/4838724500

 

エッセイであれ小説であれ、文章にとって親切心はすごく大事な要素だ。

少しでも相手が読みやすく、そして理解しやすい文章を書くこと。

https://www.amazon.co.jp/サラダ好きのライオン-村上ラヂオ3-村上-春樹/dp/4838724500

 

これ、本当重要なことですよね。

 

村上春樹の文章を読んでいると

まず難解な熟語や漢字って出てきていません。

 

引用した文章だって、もっと小難しく表現することだって

できたと思います。

 

余計な部分をそぎ落とし、物語自体の強さを高めている

ミニマリスト的な趣を感じます。

 

そして!漢字とひらがなカタカナのバランスもベストだと思います。

 

出来る→できる

無い→ない

絞り→しぼり

 

など、あえて漢字を使わず文章全体のバランスまで

気を使っています(多分)

 

こういったことから

シンプルだけど、物語の力強さで

読者の読みたい気持ちをかり立たせているんじゃないかぁと

僕は考えます。

 

部屋に例えると

いろんな部屋が必要以上に飾り付けられていていると

その部分は美しく見えるけど

それぞれの部屋が、いろんな飾り付けかたをしていると

俯瞰したときにカオスに見えて

全体としての「強さ」が損なわれることもありえます。

(それを逆手にとって武器にしてしまう作家もたくさんいます)

 

シンプルで、読者にとってわかりやすい文章を書くのは

おそらく日本文学をルーツに持たないことも影響しているのでしょう。

 

苦手意識を持っている人も

その「シンプルさ」「物語の強さ」「親切さ」を念頭において

ぜひトライしてみてください。

 

個人的には

スプートニクの恋人』がおすすめです。

 

初期〜中期村上作品の「僕」的主人公の集大成って

村上春樹がインタビューで言ってました。

 

スプートニクの恋人 (講談社文庫)

スプートニクの恋人 (講談社文庫)

 

 

よく登場人物が理不尽に失踪しますが

例に漏れず、失踪します。。

 

ぜひ読んでみてください。

 

今更ながらの村上春樹紹介でした。

 

では。